前立腺炎の病態
尿路性器に基礎疾患を有さず独立した前立腺疾患のなかで、頻尿、残尿感、排尿困難、会陰部の疾痛や不快感、腰痛、下腹部痛などの多彩な症状を認める疾患群を前立腺炎症候群と呼びます。
その中で、急性前立腺炎は細菌の尿路からの前立腺内への逆行性感染により引き起こされます。
本感染症は、尿路に基礎疾患を有さない男子にみられますが、時に膀胱鏡や尿道カテーテル操作などが誘因となります。また、前立腺生検時の細菌の前立腺への持ち込みによっても引き起こされます。
前立腺実質の急性感染症であり、重症例ではウロセプシスへの移行がみられます。分離される細菌の大部分はグラム陰性桿菌で、大腸菌が約60%を占めます。
その他、尿路感染症を引き起こす腸内細菌属が分離されます。グラム陽性球菌も約20%に分離されます。